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2009.06.11

偏光顕微鏡を基本から学ぶ 【第1回】偏光の性質

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1.偏光
図1-1 自然光(無偏光状態)

図1-1 自然光(無偏光状態)

横波である光にはその振動に方向性があり、これを偏光 polarized lightという。図1-1のように通常の光源からの光(自然光)は、ランダムな方向に振動しており無偏光状態にある。これに対し、図1-2 a.のように振動が直線的で、一つの平面内に乗っている光を直線偏光 linearly polarized light(または平面偏光)という。一方、振動面が回転しながら進む光には円偏光 circularly polarized light(図1-2 b.)と楕円偏光 elliptic polarized light(図1-2 c.)がある。

図1-2 偏光の種類

図1-2 偏光の種類

図1-3 a.直交ニコルとb.平行ニコル

図1-3 a.直交ニコルとb.平行ニコル
(P:ポラライザ A:アナライザ)

自然光を直線偏光に変える素子として、偏光板 polarizing plate(偏光フィルタ)や偏光プリズム polarizing prism が使われることが多い(7.偏光素子 参照)。図1-3 a.のように第一の偏光素子と第二の偏光素子をそれぞれの直線偏光が透過する方向が直交するように配置すると、光はカットされる。この時第一の偏光素子をポラライザ polarizer(偏光子)、第二の偏光素子をアナライザ analyzer(検光子)と呼び、この状態を直交ニコル crossed nicolsという(図1-3 a.)。アナライザを回転し、直線偏光が透過する方向をポラライザと一致させると光の透過率は最大になり、この状態を平行ニコル parallel nicolsという(図1-3 b.)。

2.反射による偏光

水面やガラス面等で水が反射する場合、その反射率は偏光方向によって異なる(図1-4 a.)。入射面に平行な振動成分(P成分)と垂直な成分(S成分)とではS成分の方が反射率が大きく、P成分には反射率が0となる入射角度(ブリュースタ角 Brewster angle)が存在する(図1-4 a.)。すなわち、この角度での反射光は直線偏光であり、偏光板を使うことによってカットできる。写真撮影で水面やガラス面の反射を除去する時に、偏光フィルタを使うのはこのためである(図1-4 b.)。水面(n=1.33)およびガラス面(n=1.52)に対するブリュースタ角はそれぞれ53°07', 56°40'である。

図1-4 a.光の振動方向による反射率の違い

図1-4 a.光の振動方向による反射率の違い

図1-4 b.偏光フィルタの効果

図1-4 b.偏光フィルタの効果
(左:フィルタ無し、右:あり)