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2009.10.01

偏光顕微鏡を基本から学ぶ 【第5回】コンペンセータ

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異方体のレタデーションの厳密な測定にはコンペンセータ compensatorというレタデーションを変化できる位相板からなる装置を用いる。コンペンセータは測定できる範囲、測定方法が異なっているので、用途によりコンペンセータを選ぶ必要がある。ここでは各種コンペンセータについて、その原理と測定の方法について示す。

1.コンペンセータの種類

標本のレタデーションの厳密な測定は、標本で発生したレタデーションをコンペンセータで打ち消し、その時の目盛りを読み取ることによって可能となる。コンペンセータには数種類あり、代表的なコンペンセータの測定範囲、用途を以下に示す。

各種コンペンセータの測定範囲と用途

各種コンペンセータの測定範囲と用途

※1 コンペンセータの名称はオリンパスの商品名
※2 コンペンセータの測定範囲はオリンパスのコンペンセータのものである。
(コンペンセータの測定範囲はメーカー各社で異なる)

コンペンセータにもZ'方向(γ方向)が記入されており、検板と同様に異方体のZ'方向を判定することができる(第4回 1-3.検板の使用法 参照)。
以下、各種コンペンセータについて説明を行う。

2.ベレックコンペンセータ
図5-1 ベレックコンペンセータ

図5-1 ベレックコンペンセータ

ベレックコンペンセータ Berek compensator(図5-1)は光学軸に対して垂直にカットした方解石やフッ化マグネシウム結晶のプリズムを使用してレタデーションを測定するものである。コンペンセータの回転ダイヤルを回すとプリズムが光軸に対して傾いて、光路長が長くなり、また常光線と異常光線の屈折率差(ne-no)も大きくなるため、レタデーションが図5-2のように増加する。

図5-2 ベレックコンペンセータのプリズム傾き角とレタデーション

図5-2 ベレックコンペンセータのプリズム傾き角とレタデーション

レタデーションの測定は、プリズムを傾けて標本の求めたい部分に黒い干渉縞または黒い点を移動させ、その時の回転ダイヤルの目盛を読み取ることによって行われる(この時にコンペンセータのレタデーションと標本のレタデーションが等しくなっている)。
読み取った角度からレタデーションRを求めるにはコンペンセータに付属の換算表を用いる。この表は次式による計算から求められたものである。

式5-1

ここではCはコンペンセータの定数で以下の式で表される。

式

ω、ε:結晶の主屈折率
d:コンペンセータのプリズム厚

オリンパスではベレックコンペンセータを2種類用意している。複屈折の大きい方解石プリズムを使用したU-CTBとフッ化マグネシウムプリズムを使用したU-CBEである。U-CTBは従来のベレックコンペンセータの測定範囲を大きくしたものである。ベレックコンペンセータ使用時の代表的な干渉縞を以下に示す。

図5-3 岩石内の鉱物を測定した時のベレックコンペンセータの干渉縞

図5-3 岩石内の鉱物を測定した時のベレックコンペンセータの干渉縞

図5-4 繊維を測定した時のベレックコンペンセータの干渉縞

図5-4 繊維を測定した時のベレックコンペンセータの干渉縞
(上の図は複屈折が正の繊維の場合である。負の場合には干渉縞の見え方がU-CBEとU-CTBで逆になる。)

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