ホーム - 顕微鏡を学ぶ - 自分でできる!顕微鏡トラブル対処とメンテナンス - 【第1回】

2009.10.01

自分でできる!顕微鏡トラブル対処とメンテナンス 【第1回】顕微鏡トラブルシューティング

いつものように顕微鏡を覗いて作業を始めようとしたとき、─いつもと見え方が違う。
そんな経験はありませんか?

顕微鏡が故障したとなれば、作業がはかどらないどころか、修理を依頼するなど時間もコストもかかってしまいます。しかし実際には、「顕微鏡の故障」という問い合わせのうち、本当に修理が必要なものは半分程度。残り半分は、簡単な調整とメンテナンスの方法を身につけておけば、解決できてしまうものなのです。

そこで、シリーズ「自分でできる!顕微鏡トラブル対処とメンテナンス」では、そんな故障かな?と思った際の簡単な確認方法と自分でできるトラブル対処法、メンテナンス方法をご紹介します。トラブルが半分に減れば、無駄な修理を依頼することもありません。また、きちんとメンテナンスができていれば、顕微鏡自体の耐用年数も長くなり、結果としてコストの削減につながります。

顕微鏡の特性を知っておくと、これらの状況に自分で対応できる範囲はぐっと広がります。これを機会に簡単な調整方法を習得してしまいましょう。

照明の明るさ、色がおかしい─そんなときはフィルタを確認!
各種フィルタ

各種フィルタ

いつもは視野が白いのに、黄色っぽく見える。光が眩しかったり、暗かったり。これら照明に関する問題で、観察がうまくできないことがあります。これは「フィルタ」が正しく使われていない可能性があります。

視野が黄色っぽく見える場合は、適切な「色温度」で観察できていないことが原因です。色温度というのは、光の色を絶対温度で示す単位です。太陽の光と白熱電球の光を見比べてみると、白熱電球の方が黄色っぽいと感じるでしょう。このような違いを数値として表わすのが色温度で、一般に「ケルビン(K)」という単位を使います。

色温度

色温度

色温度は、高いほど青みがかった光となり、逆に低いほど赤みがかった光となります。顕微鏡の光源は色温度が3800Kのハロゲンランプを使用しています。一方、観察に適した色温度は5500K、太陽の光に近い昼光色です。そのため、光源から出る光をLBDフィルタ(色温度変換フィルタ)により適切な色温度(5500K)に変換しています。

また、明るすぎる場合は電圧を下げて暗くしようとしがちですが、電圧を下げると色温度が変わり視野が黄色っぽくなります。NDフィルタ(減光フィルタ)を活用して明るさを調節してください。

照明についておかしいと感じたら、所定の場所で適切にフィルタが使われているかを確認してみましょう。

フィルタの確認箇所(BXシリーズ)

フィルタの確認箇所(BXシリーズ)

視野の一部がぼやけている、欠けている─そんなときは光軸を確認!
視野内のけられ

視野内のけられ

いつもと同じように顕微鏡を覗いているのに、明るさに「ムラ」がある、欠けて見える「けられ」がある。このような現象が発生したときは顕微鏡の「光軸」の位置がずれている可能性があります(透過照明観察の場合のみ)。

開口絞り、視野絞り、コンデンサ

開口絞り、視野絞り、コンデンサ

顕微鏡は、接眼レンズや対物レンズなど、何枚ものレンズを組み合わせて拡大する道具です。これらのレンズの中心を光が通らないと、光源から対物レンズ、そして接眼レンズ、観察者の目の網膜へと続く光の道筋「光軸」にズレが生じてしまい、最適な観察像が得られなくなるのです。
光軸調整のために調整するのは、「開口絞り」と「視野絞り」、「コンデンサ」です。

光軸調整にあたり用意するものは、確認のために使用するサンプル。これは、いつも観察しているサンプルで構いませんが、日常的に観察しているサンプルが生きた細胞や無染色の標本の場合は、調整用に染色した組織標本などをあらかじめ用意しておくと便利です。工業系のサンプルでは、平滑な板やミラーなどが良いでしょう。

まず、視野絞りと開口絞りを全開にし、対物レンズは10×もしくは低倍率の対物レンズにしておきます。次に、コンデンサ上下ハンドルを用いてコンデンサを一番上まで上げます。そして、サンプルをステージにセットしてピントを合わせます。

ピントを合わせた後、全開にしておいた視野絞りを絞ります。このとき、視野内に小さな円が見えますが、その周辺部はぼやけている状態です(1)。そこから、今度はコンデンサ上下ハンドルによりコンデンサを下に動かし、ピントを合わせていきます。すると、ピントが合うにつれて周辺部がはっきりとし、多角形になります(2)。続いて、コンデンサに付いた2つの心出しネジを回し、多角形が視野の中心に来るようにします(3)。多角形が中心に来たら視野絞りを開き、視野に外接する大きさまで開きます(4)。この際、視野絞りを開きすぎると、観察像のコントラストが悪くなるので注意が必要です。

コンデンサの光軸調整

コンデンサの光軸調整