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2009.10.01

自分でできる!顕微鏡トラブル対処とメンテナンス 【第2回】顕微鏡メンテナンス

日常的に使用する顕微鏡は、知らず知らずのうちにゴミが付いたり、汚れたりしていることがあります。このまま放っておくと、ゴミはこびりつき、汚れはシミになり、最終的には観察に支障をきたすことにもなりかねません。顕微鏡を常にきれいな状態に保つことは、作業の「質」を保つことに直結するのです。

周辺環境は整っていますか?

顕微鏡自体のメンテナンスの前に、顕微鏡を使用している周りの環境を整えましょう。まず、振動や傾きのない、清潔な場所で使用すること。そして、カビの原因となる湿気がなく、著しい温度変化のない部屋で使用すること。さらに、保管時にはホコリにさらされないようカバーなどで覆うことが望まれます。取扱説明書にもトラブルシューティングのページがありますが、ここに目を通しておくことも、万が一の場合に有益な知識となります。

必要な道具はこれだけ!─メンテナンス5つ道具

特に対物レンズや接眼レンズ、フィルタを清潔に保つことは非常に重要です。顕微鏡の重要なパーツであることに加え、観察ごとに変える場合が多いので人の手に触れやすいためです。油浸対物レンズを使用した後などは、別の対物レンズに浸液が付着する可能性があり、より一層の注意が必要です。

とはいえ、使用するうちに多かれ少なかれゴミや汚れは付いてしまいます。そこで今回は、そんなときの正しいメンテナンス方法を、準備から具体的な方法までご紹介します。

清掃のために準備するものは5つです。レンズペーパー、ブロアー、柳箸、洗浄液、そしてルーペです。これは以下のようなもので代用することもできます。

顕微鏡メンテナンスに必要な5つ道具

  1. レンズペーパー、レンズ清掃用不織布、ガーゼ
    ガーゼは一度良く洗って柔らかくしたものを使用する。ペーパーは使いやすい大きさに切っておくと良い。

  2. ブロアー、小筆または刷毛
    小筆、刷毛は中性洗剤、レンズ洗浄液等で十分に洗浄・脱脂する。

  3. 柳箸、ピンセット、綿棒
    レンズペーパー等を巻きつけて使用する。綿棒は、薬剤の染み込んでいないものを使用。柳箸は、先端を削ってペーパーを巻きつけ易くすると良い。

  4. 洗浄液
    無水アルコール。ただし、従来のエーテル・エタノール(7:3)混合液やEE洗浄液(オリンパス製)、石油ベンジンも使用できるが、引火性が高いので火気(ランプハウスも含む)には近づけないこと。また、メガネクリーナーなど、曇り止めが入っている洗浄液は使わないこと。
    また、キシレン(キシロール)は、ほかの洗浄液よりも人体に影響(健康への悪影響)を与える度合いが高く、かつレンズを構成している部材を侵すことがあるので絶対に使用しないでください。

  5. ルーペ
    接眼レンズでも代用できる。

※ 洗浄液は、油分による汚れを溶かしだしてレンズをきれいにするためのものです。無水アルコールをお奨めしていますが、市販されているレンズ専用の洗浄液を購入するか、エーテルとアルコールを7対3の割合で混ぜた混合液、石油ベンジンでも代用できます。ただし、いずれも引火性が非常に高いので、取扱いの際には火気に十分な注意をしてください。
また、洗浄液をご使用の際は、付属の取扱説明書や化学物質等安全データシート(MSDS)に記載されている注意事項を守ってご使用ください。化学物質等安全データシート(MSDS)については、経済産業省ホームページをご覧ください。弊社EE洗浄液のデータシートはこちらをご覧ください。他の洗浄液については各製造メーカーにお問い合わせください。

レンズの拭き方のコツ─内側から円を描くように・・・
接眼レンズによるルーペの代用法

接眼レンズによるルーペの代用法

レンズを拭く手順に入る前に、まず顕微鏡の電源がOFFになっていることを確認しておきます。拭くために使用する洗浄液は引火性があるため、電源が入っていると照明の熱で発火事故につながる恐れがあるからです。

まず、顕微鏡からレンズを外し、接眼レンズ、対物レンズ、コンデンサ、フィルタのゴミや汚れをチェックします。ルーペがなくても、接眼レンズを逆さにしてルーペ代りに使用することもできます。クリーニングを行うレンズ面を上に向け、ルーペで観察すると簡単に見えます。

ブロアーによるゴミ・ホコリの除去

ブロアーによるゴミ・ホコリの除去

次に、ゴミやホコリをブロアーまたは小筆か刷毛などで除去します。これにより、洗浄液を付けたペーパーで拭くときに、レンズ面に傷がつきにくくなります。

続いて、図のように先を削った柳箸またはピンセットの先にレンズペーパーを巻きつけ、洗浄液を染み込ませます。この際、レンズ面を傷つけてしまう恐れがありますので、ピンセットの金属部分や尖った箇所がペーパーの外に飛びでないよう注意してください。

棒拭きの準備法

棒拭きの準備法

レンズ面を拭く際には、内側から外側へ渦を巻くように拭き取ります。これにより、洗浄液で溶けた汚れなどがレンズの外枠に集まり、確実に取り除くことができます。接眼レンズなど、レンズが比較的大きいものはこの方法でレンズを拭きますが、高倍率の対物レンズなど、レンズが非常に小さいものに関しては、ピンセットを固定したままレンズの方を回転させます。

接眼レンズの拭き方

接眼レンズの拭き方

対物レンズの拭き方

対物レンズの拭き方

レンズ面が平らで淵がないコンデンサなどのようなものは、手拭きによる方法が便利です。図のようにレンズペーパーを手に巻きつけ洗浄液を染み込ませて、内側から外側へ渦を巻くように拭き取ってください。

手拭きの準備法

手拭きの準備法

また、フィルタを拭くときは、レンズペーパーに洗浄液を染み込ませ、人差し指と親指で挟むようにします。このままフィルタを回転させることにより、表裏を同時に拭くことができます。

コンデンサの拭き方

コンデンサの拭き方

フィルタの拭き方

フィルタの拭き方

レンズペーパーは、拭き取った汚れが再度レンズに移ってしまうのを防ぐため、一度拭くごとに交換します。レンズを拭き終わったら、きちんと汚れが落ちているかルーペを使って確かめてから、顕微鏡の元の位置にセットし直します。

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自分でできる!顕微鏡トラブル対処とメンテナンス 連載一覧

【第1回】顕微鏡トラブルシューティング

【第2回】顕微鏡メンテナンス