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2010.02.09

異物混入を見つける光学顕微鏡活用法 【第1回】異物の分類と異物検出の考え方

製品の製造や加工の過程で常に気をつけなければいけない、異物の混入。異物の有無やそれが何かを確認するために、さまざまな方法・機器が使われていますが、一般的なのはやはり「見る」ことです。

本シリーズでは、「見る」ための機器の中で「光学顕微鏡」にフォーカスし、その長所と短所について観察法の特徴を踏まえてご紹介します。光学顕微鏡は、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡など、その他の機器と比較してコストが安く観察までの準備が簡単です。その上、さまざまな素材に対応し、数nm〜数mmまで幅広い大きさの対象物が検出できるなど、多くのメリットを持っています。

そこで、まず第1回は異物をその特性から分類した上で、光学顕微鏡で観察したときにどのような像が得られるのかを見ていきます。

異物検出のポイントと顕微鏡の種類

異物を「見る」ことで検出する際の重要なポイントは、サイズと色です。肉眼でも十分見えるような数mm以上のものであれば検出に苦労はしません。しかし、1mm以下のものや透明な異物を検出したい場合には、光学顕微鏡の出番となります。

光学顕微鏡で異物検出を行うときは、光を当てその光の屈折や反射を捉えることで検出します。不透明なものの内部に混入してしまった異物ではない限りはほぼ検出できるという、広い適用範囲が特長です。

異物と媒質の模式断面図

異物と媒質の模式断面図

異物とその周囲(媒質)の状態で分類すると、

  1. 透明な媒質の中に透明な異物がある

  2. 透明な媒質の中に不透明な異物がある

  3. 不透明な媒質の表面に透明な異物がある

  4. 不透明な媒質の表面に不透明な異物がある

となります。

具体的には、透明なガラス瓶の中に透明なガラスの粉が混入してしまったケース、透明な樹脂の中に不透明な溶け残りがあるケース、不透明な半導体ウエハの表面に透明な薬品残渣があるケースや、不透明なゴミがついてしまうケースなどが考えられます。

これらに対し、光学顕微鏡の種類は大きく分けて2つあります。それは、「透過型」と「落射型」の2つです。

透過型は光源からの光をサンプルに当て、透過した光を目へと導く構造の顕微鏡です。従って、3.4.のように媒質が不透明な場合には利用できません。一方、落射型は光源からの光をサンプルに当て、反射した光を見るものです。

さらに、観察法にもいくつかの種類があります。異物の種類と観察法との組み合わせによって、検出の可否や容易さが変わってきます。このため、異物検出においては「異物の特徴」と「観察法の特徴」とを知った上で、適切な観察法を選択することが重要になります。

さまざまな異物とその観察法

では実際に、複数の方法で観察した異物の像を見てみましょう。なお、それぞれの観察法については、第3回で詳しく説明します。

透明な液体中の、ほぼ透明なカエルの血球

透明な液体中の、ほぼ透明なカエルの血球

観察法によって異物と媒質のコントラストが異なるのが分かると思います。

不透明な磁気ディスク表面上の、不透明なゴミ

不透明な磁気ディスク表面上の、不透明なゴミ

観察法によって見えるもの自体が変わり、特に暗視野観察では、他の方法では見えない細かいゴミやキズまで検出できています。

透明なガラスレンズ表面の、透明なコーティング膜のはがれ

透明なガラスレンズ表面の、透明なコーティング膜のはがれ

このコーティング膜は非常に薄い(波長の1/4、100〜200nm程度)ものですが、微分干渉観察では境界部分の段差が見えています。

顕微鏡のしくみや観察法の特徴を知り最適な使い方をすれば、透明な異物やわずかな段差なども光学顕微鏡で検出できます。
次回から実際に異物検出能力を高めていくにはどうすれば良いか、顕微鏡のしくみをもとにご紹介します。

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