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2010.04.15

異物混入を見つける光学顕微鏡活用法 【第2回】しくみを知り、限界まで使いこなす

今回は、異物検出において光学顕微鏡を最大限活用するため、顕微鏡の原理や長所とその限界について見ていきます。

異物検出の際に光学顕微鏡を使う何よりのメリットは、手軽だということでしょう。
学校でスライドガラスに載った切片を観察したときのことを思い出してみてください。ステージの上にプレパラートを載せてピントを合わせるだけで、きれいな像が見えたと思います。ステージにセットしてピントを合わせるだけという手軽さは、異物検出の場合でも同様です。さらには、数nm〜数mmの異物まで検出することができるという適用範囲の広さも、光学顕微鏡の強みです。

では、どうすれば光学顕微鏡を使いこなせるのか。その考え方を見ていきましょう。

光学顕微鏡のしくみ

光学顕微鏡を最大限使いこなすために、まずそのしくみから見ていきましょう。

光学顕微鏡のしくみ

光学顕微鏡のしくみ

上の図は光学顕微鏡の光路を示したもので、前回紹介した「透過型」と「落射型」とが一体となっている顕微鏡です。赤字が透過型、青字が落射型の光路で、白字は共通部分です。

顕微鏡の基本構造は、光源から出た光を絞りで調整してサンプルに当て、透過または反射した光を、レンズを通して目まで導くというものです。その光路の中で、開口絞りや視野絞り、さらにはコンデンサや位相板、偏光板、フィルターなどを調整することで、最適な観察条件をつくることができるのです。

分解能と検出能力

光学顕微鏡を用いた異物検出の際に重要となるのが、「分解能」と「検出能力(コントラスト)」という顕微鏡の2つの性能です。

分解能とは、2つの物体がどのくらい離れていた場合に「2つ」として区別できるのか、という性能です。この性能が高ければ高いほど、より近接した物体でも2つとして区別ができることになります。

分解能は高ければ高いほど、異物が何個ありどのような形をしているのか、正確に把握することが可能になります。また、異物ではない、例えば半導体回路などの微小な構造を観察できるかどうかにも影響します。

画像

一方、検出能力とは、大きさに関わらずコントラストによって「有無を判断できる」性能です。分解能を超える小さなものでも、コントラストが高ければ何かがあることは検出できます。たとえば真っ暗な夜空に浮かんだ星を思い出してください。星の形自体は見えなくても、星があること自体は分かるでしょう。逆に大きなものでも、コントラストが極端に低いものは検出することができないのです。

画像

これら2つの性能「分解能」と「検出能力」を高めることが、より小さな異物の正確な姿を観察することにつながります。

対物レンズの性能が分解能の限界を決める

画像分解能の限界は、対物レンズの性能に大きく依存しています。

対物レンズの性能はレンズの胴体部分に記載されています。それらの性能の中で、分解能に影響を与えるのは「開口数」です。

画像

画像開口数は、サンプルのある一点から対物レンズに入射する光の、光軸に対する最大角度θ(図参照)に比例して決まり、以下の式で計算されます。

式

n:サンプルとレンズの間にある媒質(空気や水、オイル)の屈折率

また、開口数と分解能の関係は、以下の式で表されます。

式

δR:分解能、λ:光の波長、NA:開口数

式を見ると、分母にある開口数が大きいほど分解能の値が小さく(=近い距離のものが区別できるように)なることが分かります。また、より短い波長の光で観察するほど分解能の値は小さくなるので、例えば紫外線でサンプルを照らしてカメラで検出すれば高い分解能が得られるということになります。

ただし、理論上の最高分解能は、油浸レンズの0.2μm程度(NA=1.4、波長550nmで計算した場合)です。それ以上小さなものは、正確な姿を捉えることができません。また0.2μmよりも近い距離に複数の異物があっても、複数と認識することはできないのです。このような微細な異物の姿を観察したい場合は、レーザー顕微鏡や電子顕微鏡などを用いる必要があります。

検出能力は観察法によってさまざま

より小さな異物を見つけるための検出能力は、観察法によってその限界が変わります。明視野観察や暗視野観察、位相差観察、微分干渉観察・・・など、さまざまな方法で観察を行えるのも光学顕微鏡の特徴のひとつ。異物や媒質の色や材質に合わせて、これらの観察法をうまく使い分けることで、分解能の限界を超えて数nmサイズの異物を検出することもできます。
つまり、「形ははっきりと分からないけど何か(=異物)がある」ということを知ることはできるのです。

次回は、各種の観察法について原理を解説していきます。それぞれの観察法には得意・不得意があります。ご自身のサンプルには、どのような観察法が最適かのヒントをご提供します。

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