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2010.09.28

顕微鏡の基礎知識〜オリンパステクノラボ編纂冊子より抜粋・改変〜 【第1回】顕微鏡とは

この回では、顕微鏡ではどんなものが見えるのか、そして見えるとはどういうことかを理解し、
顕微鏡がどのようにして生まれ、今日まで発展してたのかを学習する

1.顕微鏡で見えるもの

1-1.顕微鏡のはじまり

肉眼では見えない遠くのものを見たいという人間の欲求が望遠鏡や双眼鏡を生んだように、肉眼では見えない小さなものを見たいという人間の好奇心や探究心が、顕微鏡を生み出した。

今日、顕微鏡は医薬品の研究開発、病院の検査、精密機器部品の研究開発、教育現場など社会のさまざまな場所で私たちの生活を支えるのに役立っている。

顕微鏡では何が見えるか

肉眼で見える大きさは0.1mm(100μm)程度、ちょうど細い髪の毛の太さぐらいである。これ以下のものは肉眼で見ることはできない。では、顕微鏡ではどうか。光を用いる光学顕微鏡の場合、一般的に数十倍から1500倍ぐらいまで拡大でき、0.2μmくらいの大きさまで見える。ゾウリムシやヒトの卵、大腸菌といったミクロの世界の観察ができる。
また、光の代わりに電子を用いる電子顕微鏡になると100万倍ぐらいまで拡大できる。光学顕微鏡では見えないウイルスやDNA、物質の原子など、ナノの世界を観察することが可能である。

図1 さまざまなものの大きさ

図1 さまざまなものの大きさ

図2 千円札の拡大写真

図2 千円札の拡大写真

1-2.顕微鏡観察の3つの要素

顕微鏡は、小さくて見えないものを大きくして人間の眼で見えるようにする装置である。顕微鏡を使うことによって、我々は肉眼では見ることのできないものを見て、それがどのようにできているかを観察することができる。では、正しく観察できるとはどういうことかを考えてみよう。

見たい大きさで見える(倍率)

肉眼では見えない小さなものを見るためには、対象物を拡大することが必要である。下図のように、小さな生き物を大きくしてみると個性的な形をしていたり、たくさんの毛が生えていたり、新たな発見がある可能性を秘めている。正しい観察をするためには単に大きくできればよいのではなく、見やすい大きさ、見たい大きさで見えることが重要である。

図3 珪藻

図3 珪藻(対物10×)

図4 珪藻

図4 珪藻(対物40×)

見分けられる(分解能)

観察したいものを拡大しても、見たい部分が細部にわたってはっきりと見えなければ満足な観察はできない。見たい部分が十分に精細に見え、正しく見分けることができるかが重要である。

下図は、同じものを写した写真だが、図5は見たい部分がくっついたり重なって見えたりする。図6のように見たい部分が精細に見えれば、正しい観察結果を得ることが可能である。

図5 分解能が不十分

図5 分解能が不十分(拡大

図6 分解能が十分

図6 分解能が十分(拡大

見つけられる/はっきり見える(コントラスト)

微生物をさらに拡大してみると、表面がでこぼこしていたり、細かな模様が刻まれていることがわかる。このような小さな凹凸や点を見つけるには、明暗や色でそれらがはっきり区別できることが必要である。

下図はコントラストの違う2枚の写真である。コントラストが低いと、明るい部分と暗い部分がはっきりせず、表面には何も見えない。一方、コントラストが高いと明るい部分と暗い部分の差がはっきりわかり、先ほどは見えなかった細かな凹凸を見ることができる。

図7 コントラストが低い

図7 コントラストが低い

図8 コントラストが高い

図8 コントラストが高い

チェックポイント
  • 顕微鏡の観察では、「見たい大きさで見える」「見分けられる」「見つけられる/はっきり見える」ことが必要である

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