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2011.06.29

顕微鏡の基礎知識〜オリンパステクノラボ編纂冊子より抜粋・改変〜 【第4回】顕微鏡の光学原理 〜レンズによる結像〜

2.レンズによる結像

2-1.眼の構造と識別能力

顕微鏡観察の基本は、標本の像を眼で見ることから始まる。
レンズの性質について学習する前に、ヒトの眼の構造と識別能力について学習しておこう。

眼の構造

ヒトが物を見るときは、角膜とレンズ(水晶体)で入ってきた光を屈折させ、網膜上に物体の像を結ぶことによって、物の形や色を認識する。
つまり、角膜と水晶体はレンズの機能を果たし、網膜がスクリーンとして機能している。さらに視細胞がセンサーとなり、ケーブルの役割をする視神経によって脳にその情報が送られ物の形や色を認識することになる。

図1 眼の構造

図1 眼の構造

眼の識別能力
図2 眼の2点識別能力(分解能)

図2 眼の2点識別能力(分解能)

ヒトの肉眼で見える物体の大きさは、視細胞の大きさによって決まり、個人差があるが、おおよそ0.1mmである。
これは、明視距離(250mm:眼が疲れずに細かいものが見える距離)から近接した2つの物体を見たときに2点を識別できる能力であり、「眼の分解能」とも呼ばれる。
また、物体の大きさは、実際の大きさではなく網膜上にできる像の大きさによって認知される。網膜上にできる像の大きさは、視角(右図参照)によって変化するので、物体の見かけの大きさは視角に依存することになる。

コラム:虫眼鏡による物体の見え方

虫眼鏡は、凸レンズ(正レンズ)を通し、小さい物体を拡大して観察する道具である。物体を凸レンズの焦点距離(2-2.正レンズと負レンズの性質 参照)の内側に置くことで、小さいものが明視距離(250mm)に虚像(2-3.正レンズによる結像 参照)として大きく見える。虫眼鏡を通して見る物体の大きさは視角に依存し、視覚が大きいほど物体や像が大きくみえる。

図3 虫眼鏡を通して見る物体の大きさ

図3 虫眼鏡を通して見る物体の大きさ
(肉眼で見たリスと虫眼鏡で見た蟻は明視距離で同じ大きさに見える)

2-2.正レンズと負レンズの性質

レンズには、正レンズ(凸レンズ)と負レンズ(凹レンズ)の2種類がある。
それぞれのレンズと光の関係について説明する。

正レンズ(凸レンズ)

ふちよりも中心のほうが厚いレンズを「正レンズ」、または「凸レンズ」という。
正レンズでは、光軸(レンズ曲面の中心をレンズに垂直に通る線)に平行な光はレンズによって屈折し、光軸上の1点に集まる。この点を「焦点」という。正レンズの焦点はレンズの前後に1つずつあり、それぞれ、「前側焦点」、「後側焦点」という。また、レンズの中心から焦点までの距離を「焦点距離」といい、前後の焦点距離は等しい。なお、単に「焦点距離」というときは、後側焦点距離のことを指す。
一般的にレンズを含めた作図をする場合、便宜上HとH´の距離を0にすることが多い。

図4 正レンズと光の関係

図4 正レンズと光の関係

負レンズ(凹レンズ)

中心よりもふちが厚いレンズを「負レンズ」、または「凹レンズ」という。
負レンズでは、光軸に平行な光はレンズによって屈折し、広がる。このとき拡散した光は、光軸上の一点(右図のF'B)から発せられているように見える。負レンズの焦点といった場合、この見かけ上の光の出発点を指す。

図5 負レンズと光の関係

図5 負レンズと光の関係

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