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2009.05.07

地方発!先進の画像測定ソフト開発メーカー社長に聞く 【前編】好きと得意を生かして独立。ITを活用し、もの作り現場を元気にしたい!

オリンパスの「STM6-PLUS」は、デジタル画像で簡単かつ正確な測定を実現する新しい測定顕微鏡です。この「STM6-PLUS」には、エッジ自動検出やナビゲーション機能など、測定作業を支援する先進のソフトウエアが搭載されています。

画像測定顕微鏡システム「STM6-PLUS」

画像測定顕微鏡システム「STM6-PLUS」

画像このソフトウエアを開発しているのが広島のソフトハウス、株式会社イノテックです。そこで、今回はイノテックの代表取締役社長である伊藤賢治(いとう・けんじ)氏に、オリンパスのシステムとして製品が採用されるまでの経緯や、ITともの作り現場の現状、今後の展望などを聞きました。

「最先端の機器に触れられる、この仕事が好きです。」
慣れ親しんだパソコンを武器に、営業マンからソフトハウスの社長に転身

伊藤氏は学生時代に文系にも関わらず、1980年代のパソコンが普及し始めた早い段階から興味を持ち、自宅でもいろいろなプログラムを作っていたそうです。大学卒業後は、精密機器を販売する商社に入社。営業マンとして、32歳まで10年間働きました。

株式会社イノテック 伊藤社長

株式会社イノテック
伊藤社長

1985年ころから、客先を回る中で「顕微鏡から得られる情報をパソコンで処理できないか」という相談が持ちかけられるようになりました。パソコンを得意としていた伊藤氏には嬉しい話で、個別の要望を受け特注品として販売を始めました。そうこうしているうちに、特注の相談がだんだんと増え、勤めていた商社内に新しい特注専門部署が作られました。その後もシステム開発の依頼が続いたため、この部署が会社として独立、伊藤氏が社長となりました。1996年のことです。

伊藤氏を含め、3人でスタートしたイノテック。会社設立当時は、バランスよくビジネスをしようと考え、顕微鏡関連の販売、特注システムの開発、画像測定ソフトウエア開発を同程度の比率にしていたそうです。しかし現在は、顕微鏡の販売業務はほとんどなくなり、顕微鏡に付随する特注システムの開発・販売と、画像測定ソフトウエアの開発・販売が二本柱となっています。

管内検査システム

管内検査システム

特注システムには、管内検査システムなど公的機関で使われる特殊なものが含まれます。必要に応じて地元・広島のソフトハウスと連携しながら、常時、4〜5本のプロジェクトを扱っているそうです。

また、画像測定ソフトウエアの販売には、インターネットを効果的に使っています。自社のホームページでデモソフトのダウンロードサービスを提供。ここから発生した問い合わせや依頼に丁寧な対応を積み重ねてきた結果、今では広島の会社でありながら首都圏、大阪、名古屋と、大都市圏に多くの顧客を持っています。

「小回りよく、ユーザーのニーズに応えたい。」
営業マンとしての勘、堅実な対応、持ち前の明るさで顧客の信頼を得る

イノテックの最大の強みは、小回りがきくことです。「地方の会社でネームバリューもない分、どこよりも早く対応しお客さまに合った製品を供給することによって、信頼を得ていきたいのです」と伊藤氏。客先でヒアリングをした要望を製品にすばやく反映できるのは、トップの目が行き届く少人数の会社だからこそ。

また、ソフトウエアは、ユーザーに合わせたカスタマイズをしやすいように開発しています。イノテックの主力製品のひとつである画像測定ソフトウエア「CCS-CORE」。標準的な機能を“CORE=核”として大きな歯車として動かしながら、ユーザーからの要望を小さな歯車としてどんどんつないでいくという考え方が、この名前に現れています。

画像測定ソフトウエア CCS-CORE

画像測定ソフトウエア CCS-CORE

イノテックの特筆すべき強みは、他にもあります。ユーザーの将来的な投資負担を軽くするため、特注で依頼を受けたカスタマイズを、以後は標準機能へと組み込む仕組みを用意しているそうです。

「もちろん、特定のお客さまの特注であることが分からないよう表現などを変えることを前提に、お客さまに可否を判断してもらいます。OKをもらえれば、開発費用が分散できるので、その機能を安くご提供できます。お客様専用の場合は、一品ものの特注ソフトとしての金額をいただくなど、選択肢を設けています。」

多くのユーザーは前者を選び、安価にその機能を入手することを選ぶようです。それもそのはず。自分たちに必要な機能が標準機能として組み込まれていれば、将来的にソフトウエアがバージョンアップした際にも、その機能を追加料金なしで使い続けることができるわけですから。

イノテック製品のバージョンアップとは、自社の都合で意図的に機能を増やすものではなく、ユーザーの要望を標準機能に組み込むためのものだとか。「私はリピート注文をいただくことを最大の目標に、営業活動をしています。」顧客に「頼んでよかった」と言われることが、最高に嬉しいと伊藤氏は語っています。

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