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2009.08.07
地方発!先進の画像測定ソフト開発メーカー社長に聞く 【後編】もの作り現場のニーズは時代とともに変化する。ITを上手く活用し、人にしかできないクリエイティブなもの作りを目指せ!
「単純作業はITに任せ、付加価値を生む部分に人が関われば、人の存在意義が高まります。」
もの作り現場でITを活用するには
もの作りの現場にひたひたと忍び寄る、さまざまな問題点。それらを解決しなければ、日本のもの作りを活性化させるのは難しいでしょう。伊藤氏は、終身雇用制の復活がカギを握ると考えています。
「終身雇用は、とても良いシステムだと思います。従業員が愛社精神を持って仕事に臨む方が、良い製品ができるはずです。安定雇用が前提なら、匠の技を封印して退職する熟練者も減るのではないでしょうか。教える意味を見い出すことができますから。」こうした持論を展開する伊藤氏は、自社での人材採用にあたっては、もちろん終身雇用を前提に話をし、これを体現しています。
伊藤社長とスタッフ一同
雇用問題の改善となると、一朝一夕には進みません。では、IT活用によって、もの作り現場を活性化させることはできないのでしょうか。学生時代からパソコンが好きだったという伊藤氏に、現場での経験も交え、語ってもらいました。
「パソコンがどこまでできるか、理解できていない人が多いと思います。」伊藤氏はまず、根本的なポイントを示しました。例えば、引き合いが来てから、見積書、注文書、納品書といった一連の書類を、その都度エクセルで作っている会社がありました。ルーチン化せず、パソコンを単なる印刷機として使っているため、何倍も時間がかかって非効率な状態でした。
また、4種類の測定器から出力されるデータを1枚の成績表にまとめたい、という会社もありました。相談を受ける前は、4種類を別々に印刷し、さらに別のパソコンでとりまとめていたそうです。「簡単にデータをまとめられる、マクロのような成績表を作ったところ、感動されました。」
ソフトウエアの開発風景
このように、伊藤氏率いるイノテックでは、数々のもの作り現場でIT活用をサポートしてきました。そんな伊藤氏が考える真のIT活用法とは、いったいどんなものなのでしょうか。
「単純作業は、ヒューマンエラーにつながることが多いと思います。そこをIT化、つまり機械に置き換えれば、効率が上がり、人的エラーを排除できます。一方、IT化によって生まれたゆとりは、人でなければできない複雑な作業や、クリエイティブな作業に割り当てるようにしてはどうでしょう。」長時間、同じことを繰り返すような作業は、機械に任せた方が良いのです。
一方、人がよりクリエイティブな作業に時間を使うことで、会社において、その“人”の存在意義が高まります。IT化によって人を減らすのではなく、IT化によって人の価値を引き上げる。そこにとても大きな意味があると、伊藤氏は考えています。
IT化とは、単なる機械化ではありません。伊藤氏は、IT社会にこそ、人と人のコミュニケーションが欠かせないと考え、大切にしているとのこと。「本当に深い付き合いをして、実際に顔を合わせた打ち合わせをしないと、本当に役立つソフトはできません。操作性の良い人に優しいソフトを作ろうとするなら、なおさらです。」結局は、人と人のつながりを密にしていかなければ、良いソフトはできないというのです。
「コミュニケーション抜きに、ソフトだけ、IT技術だけが進化するということは、ありえないと思います。」伊藤氏の一番の目的・喜びは、コミュニケーションを大切にし、ユーザーが本当に欲しいと思えるようなソフト、ユーザーに本当に喜んでもらえるようなソフトを作ることなのです。
ミーティング風景
そのためには、伊藤氏は自社の社員ときちんとコミュニケーションを取ることにも、努力しているそうです。「毎週月曜日のミーティングでは、皆が同じ目線で意見を出し合えるように心がけています。個人個人の定期的な目標管理をするためにヒアリングもしています。もちろん、たまには飲みニケーションもいいですね。」社員が伊藤氏に持ちかける相談は、自分自身の心配事よりも、仲間を気づかう内容の方が多いのだそうです。
「もの作りでも、ものを売るのにも、人との付き合いやつながりを大切にすると、広がりが出ると思います。傲慢にならないように、自分に会いたいと言ってもらえるような人になりたいです。」伊藤氏はこれからも、人との出会いを楽しみにしながら、誰にでも使えるやさしいソフト開発を続けていくことでしょう。