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2010.06.09

シリコン深部もはっきり明るく見える!赤外線観察用対物レンズ「LMPLN-IR/LCPLN-IRシリーズ」

今回は、オリンパスが新たに開発した赤外線観察用対物レンズ(以下「IR対物レンズ」)「LMPLN-IR/LCPLN-IRシリーズ」を取り上げます。IR対物レンズは、シリコンデバイスを透過し内部を観察する場合などに主に使われています。ユーザーの声を反映し開発した「LMPLN-IR/LCPLNシリーズ」ですが、最大の特長はやはり“見え”の良さです。ここでは、深部でも明るく高解像で見られる、新しいIR対物レンズの機能やメリットを紹介します。

基板に実装されたICの赤外線(IR)観察

基板に実装されたICの赤外線(IR)観察

肉眼では見えないものを見ることができる赤外線(IR)観察
赤外線顕微鏡 BX-IR

赤外線顕微鏡 BX-IR

IR対物レンズは、顕微鏡による「赤外線(IR)観察」※1を行うことを目的として設計されたレンズです。赤外線(IR)観察では、肉眼では見えないシリコンウエハの内部を、ガラスを透かして見るように観察することができます。このためIR対物レンズは、一般の顕微鏡に付けるだけではなく、半導体の検査や測定、加工を行う装置にも活用されています。

一般的に市場に流通しているIR対物レンズを、「同焦点距離」※2に基づいて大別すると、“45mm”と“95mm”タイプの2種類に分かれます。加工機のように大型でスペースの制約が少ない機器では、「W.D.」※3が長い“95mm”タイプが多く使われています。一方、小型化を求められる測定機や検査機においては、小さて軽く機器への負荷が少ない“45mm”タイプが選ばれる傾向にあります。

BHSM-IR(1988年発売)

BHSM-IR(1988年発売)

当社が開発・製造しているのは、同焦点距離が“45mm”のコンパクトなIR対物レンズです。1988年に、半導体業界向けにシリコンの透過観察を主な用途として「MIRPlan-IRシリーズ」を発売して以降、約20年間IR対物レンズを市場に提供し続けています。

※1 IR観察とは、「近赤外域」と呼ばれる700nm〜1300nmの波長の光を使い、可視光では見られないシリコンの内部などを透過して観察する手法のこと。

※2 同焦点距離とは、ピントを合わせたときの対物レンズの胴付き面から物体面までの距離のこと。

※3 W.D.(Working Distance)とは「作動距離」とも呼ばれ、物体面に焦点を合わせた時の対物レンズの先端から物体面(カバーガラスを使用する対物レンズの場合にはカバーガラス上面)までの距離を指す。

同焦点距離・作動距離

同焦点距離・作動距離

「深いところでも明るく見えるIR対物レンズが欲しい」ユーザーの声に応えた新製品

画像オリンパスでは、環境にやさしい製品づくりを推進しています。そのような「エコ化」の一貫として、ガラスに鉛を含む製品を段階的になくしています。今回のIR対物レンズの開発も、そうした流れで始まりました。しかし、開発メンバーは、従来のレンズを単に「鉛フリー」に改良するだけでなく、さまざまなユーザーの声を集めその要望を反映した、まったく新しい対物レンズを作ろうと考えたのです。

一方、市場では、電子機器の薄型化・小型化が進み、それに伴って半導体デバイスの高密度化が急速に進んでいました。そのような中で、ユーザーから最も多く挙げられた要望は、「シリコンのできるだけ深い部分の様子をはっきりと見たい」というものでした。それは、従来のレンズによる像が「暗い」「見えづらい」といった不満が背景にありました。

対物レンズの補正環

対物レンズの補正環

この課題を解決するために、まず「N.A.」※4に着目しました。しかし、N.A.を大きく設計するのは、そう簡単ではありません。N.A.を大きくするほど、原理上W.D.が短くなり、その結果使い勝手に影響を与えてしまいます。このため、開発メンバーは実際の使用におけるW.D.の最適値を探りながら、ユーザーの要望に応えるためN.A.を最大化できるよう開発を進めてきました。

次に着目したのは、「補正環」です。補正環は、さまざまなガラスの厚みによる収差を補正し、最適な見えを実現するため、LCDパネル観察用の対物レンズに採用されていました。これをIR対物レンズに採用しようとすることは、設計の難易度を大きく上げるものでしたが、開発メンバーの熱意と努力、蓄積されたノウハウで、いくつもの高いハードルを越えてきました。

※4 N.A.(Numeral Aperture)とは「開口数」とも呼ばれ、値が大きいほど解像度が高く明るい像が得られます。

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