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2008.09.19

遂に理想が現実に!次世代のカーボン・ナノ・ファイバー探針付きカンチレバーとは

カンチレバーの交換をできるだけ少なく。

現在の半導体技術やバイオテクノロジーでは、“ナノメートル”の世界を相手に、日進月歩の研究開発が展開されています。人の目はもちろん、従来の顕微鏡でも見られなかった小さな小さな「ナノ」の世界を支える、大きなチカラの一つが「カンチレバー」です。

ここでは、まったくあたらしい次世代の、「カーボン・ナノ・ファイバー(CNF)探針付きカンチレバー」を紹介します。

次世代カンチレバーはこうして開発された

画像カンチレバーとは、「原子間力顕微鏡」(以下AFM)でレンズの役割を果たす「片持ち梁」のことで、先端に探針が付いています。探針の長さは約10〜15μm、先端径は約10nmと、非常に小さく、細く、デリケートな部品です。

※マイクロメートル(μm)=0.001ミリメートル
※ナノメートル(nm)=0.000001ミリメートル

シリコン製のカンチレバーは消耗品

従来のカンチレバーでは、探針の素材として窒化シリコン(SiN)またはシリコン(Si)が用いられています。両者は、サンプルの表面の違いや、利用する観察モード(コンタクトモード、ダイナミックモード、位相モード)に合わせて、使い分けるのが一般的です。

シリコン製カンチレバーにおいては、測定回数を重ねると磨耗して画像がぼやけてきたり、探針が三角錐であるために、磨耗すると径が大きく変化する、といった欠点が指摘されていました。そのため、一般的にカンチレバーは“消耗品"であり、定期的に交換する必要があります。

このように、カンチレバーの交換は、産業や研究開発の現場にとっては不可欠な作業です。しかし本来は、交換せずに済むのであれば、同じカンチレバーを使い続ける方がよいのです。その理由には、もちろん、消耗品であるが故のコストの問題もありますが、もっと本質的な問題があります。

カンチレバーの交換がもたらす悪影響

カンチレバー交換における本質的な問題とは、交換によってサンプルを観察・計測する条件が変わってしまう、ということです。探針の磨耗によって画像が次第にぼやけるのも問題ですが、画像の劣化を避けるためにカンチレバーを頻繁に交換するのも、決してよいことではないのです。

ナノの世界を見るAFMでは、ほんの少し位置が変わるだけで、目標を見失ってしまいます。カンチレバーの交換作業には、熟練者でも15〜20分程度かかります。これほどの時間がかかるのは、交換によってどうしても探針の位置がズレるので、目標位置を定め直すための調整に手間がかかる、という部分も大きいのです。

「サンプルを同じ条件で観察・測定する。」これは、産業や研究開発の現場にとって、とても大切なことであるにもかかわらず、従来のカンチレバーで実現するのはなかなか困難でした。

「AFMによる観察・測定を、もっと効率よくできないか」「クリアな画質を継続的に得られる方法はないか」「世の中にない、新しいカンチレバーを作りたい」と考え、オリンパスが次世代カンチレバーの開発に取り組んだのは、2005年のことでした。