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2008.11.13

ミリからナノまで1台三役で観察測定できるナノサーチ顕微鏡

※光ナノテクフェア2008 実務応用セミナーでの講演内容を基に作成したコンテンツです。

現在、大気中で簡単に測定できる三次元測定装置として、レーザー顕微鏡やプローブ顕微鏡が利用されています。この2つは、測定したい観察視野の高さや広さに応じて使い分けます。
高さ方向の測定に着目すると、mm(ミリメートル)〜μm(マイクロメートル)ではレーザー顕微鏡、μm(サブマイクロメートル)〜nm(ナノメートル)ではプローブ顕微鏡を使用するのが一般的です。

しかし最近では、技術の発展とともに観察対象も多様化し、従来の観察測定方法だけでは対応しづらい、新たなニーズや克服すべき課題が出てきています。

例えば、「一つのサンプルにおいて、数百μmの粗さと数nmの段差の両方を測定したい」といった要望です。従来の方法では、一つの機器で両方を観察測定することはできず、レーザー顕微鏡からプローブ顕微鏡へとサンプルを乗せ換える必要があります。
また、「大きなサンプルの中から特定の領域を短時間で探し出しプローブ顕微鏡で測定したい」という要望もあります。従来のプローブ顕微鏡では、特定の領域を探すのに時間がかかる、狙った位置の測定が難しい、といった問題があります。

ナノサーチ顕微鏡の仕組みと機能

これらをまとめると、「レーザー顕微鏡では、もう少し細かく観察したい」「プローブ顕微鏡では、測定する箇所を簡単に探し出したい」という2つのニーズが見えてきます。
そこでオリンパスでは、この2つを同時に解決するだけでなく、活用の幅をさらに広げた、まったく新しいタイプの顕微鏡を開発しました。つまり、従来は別々の機器として使用していたレーザー顕微鏡とプローブ顕微鏡を一体化し、さらに光学顕微鏡も加え、1台で3つの機能を利用できるようにしたのです。それが、「ナノサーチ顕微鏡 LEXT OLS3500」です。

図1:倍率と分解能

図1:倍率と分解能

図1は、観察倍率と高さ測定分解能を表したグラフです。SPM(プローブ顕微鏡)、LSM(レーザー顕微鏡)、光学顕微鏡の順に、分解能と倍率が高いのがわかります。しかし、1台三役のナノサーチ顕微鏡を使えば、mmからnmの範囲をシームレスに観察測定できるため、これらの顕微鏡を個々に購入する必要がありません。

では、これら3つの顕微鏡が有する特徴に注目しながら、ナノサーチ顕微鏡の基本機能を説明します。

まず、光学顕微鏡を使うと、明視野、暗視野、微分干渉といった観察手法を使い、マクロ的な観察をすることができます。明視野観察ではサンプルの色情報が、暗視野観察では傷や欠陥、異物などが、微分干渉観察では微小な段差や傾きがはっきりと観察でき、多様なサンプルに対応することができます。

LSM(レーザー顕微鏡)を使うと、レーザー共焦点画像、レーザー微分干渉画像を取得できます。LSMの特徴は高精度な三次元画像です。これに、微分干渉機能を加えることにより、通常のレーザー顕微鏡では不可能な超微小な傷や段差などの凹凸を観察することができます。

そしてSPM(プローブ顕微鏡)を使うと、ナノレベルを測ることのできる三次元画像ができます。SPMにはコンタクトモード、ダイナミックモード、位相モードという3つのモードがあり、サンプルに合わせて3つのモードを切り替えます。このとき、カンチレバーと呼ばれる部品が、大きな役割を果たします。

図2:カンチレバー

図2:カンチレバー

カンチレバーとは、先端に探針を持つ「片持ち梁」で、探針の長さは約10〜15μm、先端半径約10nmです。図2が探針の先端です。前述したSPMの3つの測定モードに応じて、窒化シリコン(SiN)製コンタクトモード用と、シリコン(Si)製ダイナミックモード用という、2種類のカンチレバーを使い分けます。

コンタクトモードでは、カンチレバーでサンプルをトレースするように走査します。コンタクトモードは、硬いサンプルの観察、測定に特に有効です。
一方、最もよく使われているのは、ダイナミックモードです。カンチレバーを振動させながら表面を走査するため、表面が柔らかいサンプルや粘弾性のあるサンプルに適しています。3つめの位相モードでも、カンチレバーを振動させますが、振動による位相の遅れを検出します。このため、位相モードでは、サンプルの凝着力、摩擦力、粘弾性など表面の物性の違いが画像化できるのです。

コンタクトモード

コンタクトモード

ダイナミックモード

ダイナミックモード

位相モード

位相モード

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